歯科診療の現場において、子供の歯の本数が標準的な数と合致しないケースは、決して珍しいことではありません。通常、乳歯は20本、永久歯は親知らずを除いて28本生え揃うのが正常ですが、近年では先天性欠損、つまり生まれつき歯の本数が足りない子供が増加傾向にあります。日本小児歯科学会の調査によれば、約10パーセントの子供に永久歯の欠損が見られるというデータもあり、これは10人に1人という高い割合です。具体的には、下の第2小臼歯や上の側切歯が欠損しやすく、本来あるべき本数が揃わないことで、周囲の歯が倒れ込んできたり、噛み合わせのバランスが崩れたりするリスクが生じます。このような事例では、早期にレントゲン撮影を行い、顎の骨の中に将来生えてくるべき永久歯が何本隠れているかを正確に把握することが不可欠です。逆に、標準の本数よりも多く歯が生えてくる過剰歯というケースもあります。特に上の前歯付近に多く見られる過剰歯は、本来生えるべき永久歯の進路を妨げたり、根っこを溶かしてしまったりする悪影響を及ぼすため、適切な時期に抜歯を行うなどの処置が必要となります。ある事例では、乳歯の時期に本数が1本多いことに気づき、定期的な観察を続けた結果、永久歯へのスムーズな移行をサポートすることができました。また、欠損歯がある場合には、残っている乳歯をできるだけ長く持たせるための特別なケア計画を立てるか、あるいは将来的な矯正治療やインプラント、ブリッジといった選択肢を視野に入れた長期的な戦略が必要となります。子供の歯の本数が20本、あるいは28本という数字から外れていることは、決して保護者の責任ではありませんが、それを早期に発見し、専門的な介入を行うことは、子供の将来の口腔機能を守る上で極めて重要です。学校の歯科検診だけでなく、定期的にかかりつけの歯科医院で「今、口の中と骨の中に合計何本の歯があるのか」を確認してもらうことで、本数の過不足によるトラブルを未然に防ぎ、健全な発育を促すことが可能になります。