最近、起きたときに特定の奥歯が浮いたような感じがしたり、指で触れると歯がグラグラするように感じたりすることはありませんか。虫歯でもなければ歯茎が腫れているわけでもないのに、なぜか歯が安定しない。そのような場合、原因は細菌感染ではなく、睡眠中に無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりにある可能性が極めて高いと言えます。現代社会において、過度なストレスや緊張にさらされている私たちは、寝ている間に日中の感情を処理しようとして、顎に猛烈な力をかけることがあります。その力は、起きている間に意識的に噛みしめる力の数倍から十数倍、具体的には50キログラムから100キログラム以上にも達すると言われています。これほどの強大なエネルギーが、わずか数本の歯に集中して毎晩のように加わり続ければ、歯を支えている歯根膜というクッション材のような組織が炎症を起こし、厚みを増してしまいます。その結果、歯がソケットの中でわずかに余裕を持って動くようになり、朝の時点で歯がグラグラするという自覚症状を引き起こすのです。これは医学的には外傷性咬合と呼ばれ、細菌による歯周病とは区別されますが、もしすでに軽度の歯周病がある場合は、相乗効果によって一気に歯の寿命を縮めてしまう非常に危険な状態です。歯ぎしりによる揺れの特徴は、朝方に最も強く感じられ、日中活動しているうちに徐々に落ち着いてくるという点にあります。しかし、一時的に収まるからといって安心はできません。毎晩の酷使によって歯には微細な亀裂が入り、最悪の場合は歯の根元がポッキリと折れてしまう歯根破折を招く恐れがあるからです。また、歯がグラグラするだけでなく、冷たいものが異常にしみる知覚過敏や、朝起きたときの顎の疲れ、偏頭痛なども併発することが多く、生活の質を著しく低下させます。このような物理的な負担から歯を守るためには、歯科医院で自分専用のナイトガード、いわゆるマウスピースを作成することが最も効果的です。ナイトガードを装着して眠ることで、歯同士が直接ぶつかり合うのを防ぎ、加わる力を分散・吸収させることができます。また、日中も無意識に上下の歯を接触させていないかを確認する習慣をつけることも大切です。歯は本来、食事や会話のとき以外は接触していないのが正常な状態です。仕事中や家事の合間に、ふと自分の噛み合わせをチェックし、もし歯が触れ合っていたら深呼吸をして顎の力を抜く。この単純なリマインドが、歯がグラグラするのを防ぐ大きな力になります。自分の体を守るために、目に見えないストレスの表出である歯ぎしりという現象に、もっと真剣に向き合ってみる必要があるのではないでしょうか。
睡眠中の歯ぎしりが招く歯がグラグラする不快感の正体