乳歯の生え変わりにおいて、抜ける順番が一般的なガイドラインから外れることは珍しくありませんが、その中には速やかな歯科受診が必要なケースと、経過観察で良いケースが存在します。正常な範囲内での順番の乱れとしては、例えば下の前歯が2本抜けた後、側切歯よりも先に上の前歯が抜けるといったケースがありますが、これは成長のスピードによるものであり、多くは問題ありません。しかし、注意が必要な事例としては、本来抜けるべき順番の歯が残っているのに、その後ろや脇から永久歯が顔を出してしまう「異変」です。特に下の前歯で多いのですが、乳歯が抜ける順番を待たずに永久歯が内側から生えてきてしまうことがあります。これを放置すると、乳歯の根っこが正しく溶けず、永久歯が著しく内側に固定されてしまうため、早期の抜歯が必要になる判断基準となります。また、ある事例では、片方の歯は順番通りに抜けたのに、反対側の同じ種類の歯が1年以上経っても揺れもしないという状況がありました。これは「永久歯の先天性欠損」や、顎の骨の中で歯が引っかかっている「埋伏」のサインである可能性があり、レントゲンによる精査が不可欠です。さらに、奥歯が抜ける順番が極端に早い場合も警戒が必要です。通常、奥歯は10歳から12歳頃まで維持されるべきですが、重度の虫歯や歯周病のような症状で早期に脱落してしまうと、後ろの永久歯が前の方に倒れ込んできて、後から生えてくる永久歯のスペースを完全に塞いでしまうことがあります。このように、抜ける順番の乱れが将来的な歯並びに壊滅的な影響を及ぼすと判断される場合、歯科医師は「保隙装置」と呼ばれる器具を用いてスペースを維持する処置を行います。親御さんが受診を迷う際の目安としては、順番が左右で3ヶ月以上ズレている、抜ける前に永久歯が見えてきた、歯が抜けてから半年以上新しい歯が生えてこない、といったポイントをチェックしてください。順番通りにいかないことには何らかの理由があることが多く、それを早期に解明することが、大がかりな矯正治療を避けるための最大の防御策となります。定期的な管理を受けていれば、順番の狂いも成長の個性として捉えることができ、適切なタイミングで最小限の介入を受けることが可能になります。
子供の歯が抜ける順番が前後した事例と歯科受診の判断基準