一度顎が外れると、その後も頻繁に脱臼を繰り返すようになることがあります。これを習慣性顎関節脱臼と呼びますが、こうした状態になりやすい人にはいくつかの特徴が見られます。まず、全身の関節が柔らかい「関節弛緩性」を持っている人です。これは生まれつきの体質で、手首や膝などの関節も曲がりすぎる傾向があり、顎関節を支える靭帯も伸びやすいため、下顎頭が関節隆起を容易に乗り越えてしまいます。次に、高齢者の方に多く見られるのが、顎関節の形そのものが変化し、関節隆起が摩耗して平坦になっているケースです。これにより、ストッパーの役割が弱まり、少しの動きで外れてしまうのです。また、歯並びや噛み合わせが悪く、特定の筋肉に過度な負担がかかっている場合や、長年の咀嚼習慣によって顎のバランスが崩れている人もリスクが高まります。これらの習慣的なトラブルを防ぐためには、日々の生活の中に予防の習慣を取り入れることが不可欠です。まず基本となるのは「大開口の制限」です。あくびをするときは、必ず顎の下に手を添えて口が開きすぎないようにブロックするか、下を向いて口を開けるようにします。食事の際も、大きなハンバーガーやリンゴの丸かじりなどは避け、食べ物は一口サイズに小さく切ってから口に運ぶ工夫が必要です。さらに、笑うときも口を大きく開けすぎないよう意識し、歯科治療の際にはあらかじめ「顎が外れやすい」ことを歯科医師に伝え、こまめに口を閉じさせてもらうなどの配慮を求めましょう。筋肉の緊張をほぐすために、顔周りのマッサージや、温かいタオルでの温熱ケアを習慣にすることも効果的です。もし頻繁に外れて生活に支障が出る場合は、関節を固定する装置や、必要に応じて関節の形態を整える手術などの専門的な治療も検討されます。習慣性は放置せず、適切な自己管理と専門家のアドバイスを組み合わせることで、快適な日常生活を取り戻すことが可能です。