先生が本気で歯医者を選んでみる

2026年4月
  • 神経を抜いた後の歯が枯れ木のようにもろくなる理由とその保護策

    医療

    「歯の神経を抜く」という処置を受けた後に最も注意しなければならないのは、その歯が物理的に非常に脆弱になるという事実です。よく歯科医師が「神経を抜いた歯は枯れ木のようになる」と表現しますが、これには明確な医学的根拠があります。神経、つまり歯髄の中には毛細血管が走っており、常に歯の象牙質に水分や栄養を供給しています。神経を取り除くとこの供給ルートが断たれるため、歯質は徐々に乾燥し、弾力性を失ってガラスのように割れやすい状態になります。また、神経を抜くためには歯の大部分を削り取らなければならず、構造的な強度が著しく低下します。特に、噛む力が1日に数千回も加わる奥歯の場合、このもろさは致命的です。実際、神経を抜いた歯が数年後に真っ二つに割れてしまい、治療のしようがなく抜歯になるというケースは非常に多く、これが神経を抜いた後の最大の「終わりの始まり」となります。このリスクを最小限に抑えるための対処法として、最近では「ファイバーポスト」という素材を用いた土台作りが注目されています。従来の金属製の土台は非常に硬いため、強い力がかかったときに歯根をクサビのように押し広げて割ってしまうことがありましたが、ファイバーポストは自分の歯に近いしなりを持っているため、力を分散させて破折を防ぐ効果があります。また、歯全体をすっぽりと覆う「被せ物」を早期に装着することも不可欠です。中途半端な大きさの詰め物では、噛む力に耐えきれず歯が割れてしまうからです。さらに、夜間の歯ぎしりや食いしばりの自覚がある人は、マウスピースを作成して物理的な負荷を軽減することも、神経を抜いた歯を延命させるためには極めて有効です。1本の歯に対して12万円や15万円といった高額な治療費をかけたのであれば、その投資を守るためにも、素材選びや日々の保護策に一生懸命になる価値は十分にあります。定期検診で噛み合わせのチェックを1年に数回行い、特定の歯に過度な負担がかかっていないかを確認し続けることも忘れてはなりません。神経を抜いたという事実は変えられませんが、その後の管理次第で、その歯を20年、30年と持たせることは十分に可能です。