歯に歯ブラシ当たると痛いという症状を繰り返さないためには、歯科医院での治療だけでなく、日々の食生活や生活習慣の見直しによる「お口の体質改善」が欠かせません。意外と知られていないのが、飲食習慣と歯の硬さの関係です。コーラやオレンジジュースといった炭酸飲料、あるいは健康に良いとされる黒酢やレモン、ワインなどを頻繁に摂取する習慣がある人は、お口の中が酸性に傾き、歯の表面が一時的に柔らかくなる「酸蝕症」のリスクを抱えています。この柔らかくなった状態で一生懸命に歯を磨くと、健康な歯質まで容易に削り取られてしまい、結果として歯ブラシ当たると痛い知覚過敏を引き起こします。酸性の強いものを飲食した後は、すぐに磨くのではなく、まずは水で口をゆすぎ、30分ほど時間を置いて唾液の力で口内が中和されてからブラッシングを行うのが、歯を守るための重要な対処法です。また、ストレス管理も間接的に歯の痛みと関係しています。ストレスが溜まると無意識に奥歯を噛み締める時間が長くなり、これが歯の根元への負担となって、エナメル質の崩壊を招くからです。1日のうちで、上下の歯が触れ合っている時間は本来合計でも20分程度が理想とされていますが、パソコン作業中などに無意識に噛み締めている人は、1時間以上も強い圧力をかけ続けていることがあります。「歯を離す」という意識を持つだけで、知覚過敏の症状が驚くほど改善するケースも少なくありません。さらに、唾液の分泌量を増やすことも大切です。唾液には再石灰化を促し、歯の表面を修復する成分が含まれているため、よく噛んで食べる、こまめに水分を補給する、といった小さな積み重ねが、痛みに強い丈夫な歯を作ります。12万円や15万円という高価な審美歯科治療に頼らなければならない状態になる前に、こうした生活の中の些細な習慣を正していくことが、最も安上がりで、かつ持続可能な歯の守り方です。お口の健康は全身の健康の鏡です。歯ブラシを当てた時の小さな違和感を、生活の乱れを整えるチャンスと捉え、一生使い続ける自分自身の歯を大切に育む意識を持ってください。