五年ほど前、奥歯を一本失った際に、私はブリッジ治療を選択しました。治療後は自分の歯のように快適に噛むことができ、すっかりその存在を忘れるほどでした。ところが、半年前から、そのブリッジに異変が起き始めたのです。最初は、硬いものを噛んだ時に、ほんの少し違和感を覚える程度でした。「気のせいだろう」「そのうち治るさ」と、私は楽観的に考えていました。しかし、その違和感は徐々に明確な痛みへと変わっていきました。冷たい水がしみるようになり、食事のたびにブリッジの部分をかばうようになりました。さすがに不安になり、インターネットで「ブリッジ 歯 痛い」と検索すると、虫歯や歯周病、最悪の場合は歯の根が割れている可能性まで出てきて、一気に恐怖心に襲われました。それでも、歯医者に行くのが怖くて、だましだまし過ごしていましたが、ある朝、何もしなくてもズキズキと脈打つような激しい痛みで目が覚めました。もう我慢の限界でした。私は重い足取りで、数年ぶりに歯科医院の門を叩きました。レントゲンを撮り、口の中を診てもらった結果、先生から告げられた診断は「ブリッジの下の深い虫歯」でした。私が放置している間に、被せ物の下で虫歯が静かに進行し、ついに歯の神経まで達してしまっていたのです。治療は、まず麻酔をしてブリッジをドリルで壊して外すことから始まりました。そして、大きく開いた虫歯の穴を治療し、神経の処置をするという、時間も費用もかかる大掛かりなものになってしまいました。あの時、ほんの少しの違和感を覚えた段階で歯医者に行っていれば、こんなことにはならなかったはずです。この経験を通して、私は二つのことを痛感しました。一つは、定期検診がいかに重要かということ。そしてもう一つは、自分の体が出す小さなサインを決して見逃してはいけないということです。ブリッジは、一度治療が終われば半永久的に使えるものではありません。日々のケアとプロによるチェックがあってこそ、長く機能するものなのだと、高い授業料を払って学ぶことになりました。