舌の表面に付着した白い苔、すなわち舌苔は、口臭の大きな原因となるだけでなく、見た目にも不潔な印象を与えてしまうため、気になっている方も多いでしょう。この舌苔をきれいに取り除き、清潔な口内環境を保つためには、正しいケア方法を知ることが非常に重要です。しかし、きれいしたい一心で間違ったケアをしてしまうと、かえって舌を傷つけ、問題を悪化させてしまう危険性もあります。最も大切なポイントは、絶対に強くこすらないということです。舌の表面は非常にデリケートな粘膜で覆われています。硬い歯ブラシでゴシゴシと力任せに磨くのは厳禁です。舌の表面にある味を感じるための味蕾(みらい)という組織を傷つけてしまい、味覚障害を引き起こす可能性さえあります。舌のケアを行う際は、必ず「舌ブラシ」や「舌クリーナー」と呼ばれる専用の器具を使用しましょう。これらの器具は、舌を傷つけにくいように柔らかい素材や特殊な形状で作られています。使い方は、ブラシを舌の奥の方に軽く当て、手前に向かってゆっくりと引くだけです。力を入れる必要は全くありません。舌の表面を優しく撫でるような感覚で行うのがコツです。ケアを行う頻度にも注意が必要です。やりすぎは禁物で、基本的には一日に一回、朝の起床時に行うのが最も効果的とされています。就寝中に増殖した細菌を、朝一番で取り除くことで、日中の口臭予防にも繋がります。毎食後に行う必要はありません。また、舌ケアの際に歯磨き粉を使うのは避けましょう。多くの歯磨き粉に含まれる研磨剤や発泡剤が、デリケートな舌の粘膜には刺激が強すぎることがあります。舌ブラシ専用のジェルも市販されていますが、基本的には何もつけずに水で濡らしたブラシで行うだけで十分です。正しい知識を持って、優しく丁寧なケアを続けることが、白い舌を改善し、健康的なピンク色の舌を取り戻すための最短ルートなのです。
舌の白い苔をごっそり取る正しいケアと注意点