舌が白っぽく見える時、その多くは舌苔(ぜったい)という生理的なもので、過度に心配する必要はありません。しかし、中には病気が隠れている可能性もあり、セルフケアで様子を見るのではなく、速やかに医療機関を受診すべきケースも存在します。見過ごしてはいけない「危険なサイン」を正しく知っておくことが、自身の健康を守る上で非常に重要です。まず注意したいのが、白い部分が単なる苔ではなく、こすっても全く取れない場合です。舌の粘膜自体が白く変化している状態で、その代表的なものに「口腔白板症(こうくうはくばんしょう)」があります。これは、粘膜が厚く硬くなる病気で、痛みなどの自覚症状は少ないことが多いですが、一部ががん化する可能性がある「前がん病変」とされています。特に、表面がただれたり、しこりのように硬くなったりしている場合は要注意です。すぐに歯科や口腔外科を受診してください。次に、白い苔がチーズや酒かすのようにべったりと付着し、無理に剥がすと赤くただれて出血するような場合は、「口腔カンジダ症」が疑われます。これは、口の中の常在菌であるカンジダというカビ(真菌)が、体の抵抗力が落ちた時などに異常増殖して起こる病気です。抗生物質を長期間服用した後や、高齢者、糖尿病の方などに見られやすく、ヒリヒリとした痛みを伴うこともあります。これも自然治癒は難しいため、専門医による抗真菌薬での治療が必要です。また、舌の縁にレース状の白い模様が見られる場合は、「扁平苔癬(へんぺいたいせん)」という皮膚や粘膜の病気の可能性があります。原因ははっきりしていませんが、ストレスや金属アレルギーなどが関与しているとも言われています。これらの症状に加えて、二週間以上たっても白い状態が改善しない、大きさがどんどん広がっていく、強い痛みが続く、などの異変を感じた場合は、自己判断で放置するのは非常に危険です。舌は体の健康状態を映し出す鏡です。いつもの舌苔とは違うと感じたら、迷わず専門医に相談しましょう。