舌にできものができた時、その「色」や「形」は、それが何であるかを推測するための重要な手がかりとなります。自己判断は禁物ですが、セルフチェックの知識として知っておくと、病院を受診すべきかどうかの判断材料になります。まず、最も多い「白くて丸いできもの」で、中央が少し窪んでいるようなら、アフタ性口内炎の可能性が高いでしょう。痛みを伴うことが多く、通常は1から2週間で自然に治ります。一方、同じ白いものでも、こすっても取れない、硬いしこりのようになっている、表面がデコボコしている、といった特徴がある場合は注意が必要です。これは「白板症」という、がん化する可能性のある前がん病変かもしれません。次に「赤くて腫れているできもの」ですが、舌の先端や側面にでき、ヒリヒリとした痛みを伴う場合は、舌乳頭の炎症(舌炎)が考えられます。また、鮮やかな赤色で表面がツルツルしている場合は、鉄分やビタミン不足による舌炎の可能性もあります。赤黒く、ぷっくりと膨らんでいるものは、舌を噛んだりしてできた血豆(血腫)であることが多く、自然に吸収されます。舌の側面にできる「黒いできもの」は、色素沈着による「ほくろ」のようなものである場合がほとんどですが、急に大きくなったり、形が変わったりした場合は、悪性黒色腫(メラノーマ)という非常に悪性度の高い皮膚がんの可能性もゼロではありません。小さな水ぶくれがいくつも集まってできている場合は、ウイルスの感染による口唇ヘルペスや手足口病などが疑われます。いずれのできものも、2週間以上治らない、大きくなる、形が変わる、出血を伴う、といった変化が見られたら、迷わず専門医の診察を受けてください。