舌にできた黒い点の正体とは?
ある日、鏡を見て舌に黒い点があることに気づいたら、誰でも驚き、不安な気持ちになることでしょう。その正体は一体何なのでしょうか。多くの場合、その黒い点は心配のいらない一過性のものです。最も一般的な原因は「血豆」、専門的には血腫(けっしゅ)と呼ばれるものです。食事中にうっかり舌を噛んでしまったり、硬いお菓子や歯ブラシなどが当たったりした際に、舌の内部で微小な血管が破れて内出血を起こし、それが黒っぽい点やシミのように見えるのです。通常、この血豆は数日から一、二週間もすれば自然に体に吸収され、跡形もなく消えていきます。次に考えられるのが「色素沈着」です。顔や体にほくろができるように、舌の粘膜にもメラニン色素が沈着して、ほくろのような黒や茶色のシミができることがあります。これらは生まれつきある場合や、後天的にできる場合があり、基本的には良性のもので心配はいりません。また、チョコレートやコーヒー、赤ワイン、イカ墨といった色の濃い食べ物や飲み物による一時的な「着色」である可能性も考えられます。この場合は、歯磨きやうがいをすることで、比較的すぐに色が薄れたり消えたりします。しかし、ごく稀ではありますが、注意が必要なケースも存在します。舌にできる「悪性黒色腫(メラノーマ)」という皮膚がんの初期症状として、黒いシミが現れることがあるのです。これは非常に稀な病気ですが、見逃してはなりません。心配のいらない黒い点と、注意すべき黒い点には、形や大きさの変化などに違いが見られます。まずは冷静に、その点の様子を観察することが大切です。