先生が本気で歯医者を選んでみる

2025年10月
  • 舌にできるできものその正体と対策

    医療

    口の中にできるできもの、特に舌に発生するものは、日常の食事や会話にも影響を及ぼし、不安を感じる方も少なくありません。舌の表面は非常にデリケートであり、わずかな刺激でも炎症を起こしやすい部位です。一般的に舌のできものとして知られているものには、口内炎、舌乳頭炎、粘液嚢胞、そしてごく稀に悪性の腫瘍などが挙げられます。最も一般的なのは口内炎でしょう。これはストレス、疲労、栄養不足(特にビタミンB群)、物理的な刺激(誤って噛んでしまうなど)が原因で発生し、白い潰瘍が特徴です。多くの場合、1週間から10日程度で自然に治癒しますが、痛みが強い場合は市販の軟膏やパッチを使用すると良いでしょう。次に舌乳頭炎ですが、これは舌の表面にある味蕾(舌乳頭)が炎症を起こした状態で、赤く腫れて痛みを感じます。辛いものや熱いものを食べた後、あるいは歯ブラシでの刺激によって起こりやすいです。これも自然治癒することがほとんどですが、刺激物を避けることが大切です。粘液嚢胞は、唾液腺の出口が詰まることで唾液が貯留し、プクッと膨らむできものです。痛みがないことが多く、自然に破れて治ることもありますが、繰り返しできる場合は外科的な処置が必要になることもあります。これらの良性のできものの多くは、生活習慣の改善や適切なケアで対処可能です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、ストレスの軽減、そして丁寧な口腔ケアが予防につながります。特に、歯磨き時には舌も優しく清掃することを心がけましょう。また、舌を清潔に保つために、刺激の少ないマウスウォッシュを使用するのも効果的です。しかし、中には注意が必要なケースもあります。例えば、できものが2週間以上治らない、大きくなる、痛みが強くなる、色が変化する、あるいは複数同時に発生するといった場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。特に、舌の側面や裏側にできるしこりのようなできもの、出血を伴うもの、硬く触れるものなどは、専門医による診断が不可欠です。歯科口腔外科や耳鼻咽喉科を受診し、正確な診断を受けることで、適切な治療へと繋がります。自己判断せずに、少しでも異変を感じたら専門家のアドバイスを求めることが、早期発見・早期治療の鍵となります。日頃から鏡で舌の状態をチェックする習慣をつけ、小さな変化にも気づけるように意識することも大切です。