先生が本気で歯医者を選んでみる

食事のたびに顔をしかめてしまう、舌の口内炎。多くの人が一度は経験したことがあるこの不快な症状は、一体なぜ起こるのでしょうか。その原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合って発生すると考えられています。最も一般的な原因として知られているのは、物理的な刺激です。例えば、食事中に誤って舌を噛んでしまったり、硬い食べ物や歯ブラシが当たって傷ついたり、合わない入れ歯や矯正器具が擦れたりすることでできた小さな傷に細菌が入り込み、炎症を起こすケースです。しかし、特に傷をつけた覚えがないのに口内炎ができることも少なくありません。その背景には、体の内側からのサインが隠されています。ストレスや疲労が蓄積すると、体の免疫力が低下します。免疫力が落ちると、普段は無害な口の中の常在菌のバランスが崩れ、粘膜が荒れやすくなり、口内炎を発症しやすくなるのです。仕事が忙しい時期や、大きな悩みを抱えている時に口内炎ができやすいのはこのためです。また、栄養バランスの乱れも大きな要因です。特に、皮膚や粘膜の健康を保つ働きのあるビタミンB群、中でもビタミンB2、B6が不足すると、口内炎のリスクが高まります。外食が多かったり、偏った食生活を送っていたりする人は注意が必要です。その他にも、睡眠不足、胃腸の不調、女性の場合はホルモンバランスの変化などが引き金になることもあります。舌は体の状態を映す鏡とも言われ、これらの不調がサインとして現れる場所なのです。口内炎ができてしまった時は、単に痛みを取り除くだけでなく、なぜできてしまったのか、自分の生活習慣を振り返る良い機会と捉えることが大切です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、そしてストレスを上手に発散すること。それが、つらい舌の口内炎を繰り返さないための最も確実な道筋と言えるでしょう。